障がい者自立支援制度について
障がい種別の不均衡を解消する仕組み
従来、障がいのある人や障がいのある子どもに対する施策は、障がい種別ごとに異なる法律によって行われてきました。このため、障がいの種別ごとに費用の負担やサービス内容に不均衡があり、これを解消して共通の制度のもとで一元的なサービス提供を行う仕組みが、障がい者自立支援制度です。2005年に制定された障がい者自立支援法を基に実施されています。この法律は、障がい者基本法の理念に基づいて、すべての障がいのある人や障がいのある子どもが人格と個性を尊重され、安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指したものです。
障がい者の範囲の見直し
障がい者に対する福祉施策が見直される中で、2010年には障がい者の範囲が改正されました。それは発達障がい者についてです。今までも発達障がいは、概念的には精神障がいに含まれましたが、その点が明確にされていませんでした。そこで、障がい者自立支援制度のサービスをより受けやすくするため、発達障がい者も障がい者の範囲に含まれることになりました。ちなみに発達障がい者とは、自閉症やアスペルガー症候群等の広汎性発達障がい、注意欠陥や多動性障がい等の学習障がい、通常低年齢で発現する脳機能の障がいなどが該当します。
障がい者の就労支援
障がい者自立支援制度の具体的なサービスとしては、居宅介護や施設入所支援等の介護給付、自立支援医療や補装具の給付などが挙げられます。福祉サービスを利用する際には、原則として障がい者の家計の負担能力に応じた分の費用を負担することになります。ただし、サービス利用量が少なく、1割負担の方が低い場合には、1割負担となります。
また障がい者自立支援制度の中には、訓練等給付といわれる就労支援もあります。まずは機能訓練や生活訓練などの自立訓練です。例えば点字や手話の訓練など、身体障がい者が日常生活、社会生活を営むために必要な訓練などの援助や、手話通訳の便宜の供与が挙げられます。
他にも就労移行支援、A型やB型がある就労継続支援、グループホームで行われる共同生活援助などがあり、障がい者の就労を支援しています。