障がい者と意志の疎通には双方の努力が必要

一方的な会話は逆効果の場合もあります

ある種の疾患を抱えている障がい者の中には、喜怒哀楽などの感情が表に出しにくい、または相手の感情を感じ取りにくい症状の方もいます。このようなケースでは聞き手、話し手、双方の努力が必要になります。どちらかが一方的に相手の感情を読み取ろう、自分の感情を伝えようと努力をしても一方通行になってしまう事も少なくはありません。

「障がいを持つ側」が相手に感情を伝える場合の注意点

疾患によっては、「陰性症状」と呼ばれる感情や意欲が極端に下がっている状態であることもあります。そのような状態の時には無理に自身の感情や気持ちを表に出そうとはしない事が肝要です。伝えたい言葉や気持ちが空回りすることもありますし、誤解を生んでしまう危険性があります。自身の心が落ち着いている時に、感情や気持ちを伝えるようにしましょう。

相手に自身の感情や気持ちを伝えようとする前に、自宅で「自分はどのような気持ちや感情を持っているのか」とノートなどに書きだして要点を整理すると、考えがまとまって相手に伝わりやすくなる傾向があります。伝えようとする相手にも事前に「自分の感情について話がしたい」と伝えましょう。突発的に、そのような場を設けてもうまくいかない危険性があります。

そして伝える時は、落ち着いて「あえてゆっくりとした口調」で感情や気持ちを言葉にしていきます。会話というものは、自分が予期してない部分で相手からの反応(質問等)などがあるものですが、それらは出来るだけ無視しないことが重要です。質問などが会話の途中で相手からあったのなら、会話を中断して質問に答える努力をしてみましょう。そのような行為の繰り返しで、「共感力」が徐々に身についていきます。

障がいを持つ側の気持ちや感情を「知りたい側」になった場合の注意点

障がい者の中には感情が表に出しにくい、または疾患の影響によって感情自体が平坦なものになっている人もいます。そのように感じた時期には、無理に相手の気持ちを詮索するような会話はしないようにしましょう。積極的に当事者に日常会話を試みて、「どのような状態か」を見極めることが重要です。そして、いざ相手が伝えようとしてきた際も、注意が必要です。
相手側は緊張してたり、自分の考えがまとまりきっていないケースも少なくありません。少し過剰気味に「相槌」などを相手に示して「理解しているよ」という気持ちを表現することが有効です。また、相手が話している最中に、唐突に言葉を発すると、相手の会話のリズムを乱してしまう危険性があります。

相互理解の為には質問や疑問をお互いに投げかけあう事が重要です。相手の話が終わったら、そこは遠慮せずに自分が疑問に思った事を聞きましょう。そのような会話のやり取りはお互いの「共感」をより深めます。ただし、高圧的な態度などはご法度です。そのような態度は相手側が萎縮しますし、あなたの評価が下がる可能性もあります。一切、メリットはありませんので注意しましょう。

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