高年齢者でも働くことができる環境整備の重要性

日本の法律では原則として年齢を理由とした雇用の拒否はできないことになっています。高年齢者であっても本人が希望し、身体的な能力に問題が無ければどのような仕事にも就くことができますが、実際はそうではありません。高年齢者は加齢による体力や判断力の低下が見られるので雇用する側にとってはリスクが大きいという問題があります。また、単純に働き続けることができる年齢に限りがあるのも雇われない理由の一つです。まったく同じ条件だとしても若い人と高年齢者とではどうしても若い人のほうが長く働いてくれる可能性が高くなります。そのため、高年齢者は年齢を理由に希望する仕事に就けないのが現状です。

また、高年齢者は加齢や病気によって自覚が無くても様々な障がいを抱えている可能性があります。仕事に問題がある障がいなら重大なトラブルに至る危険性があるため、雇用するリスクが高くなってしまうのが敬遠される理由です。

高年齢者向けの就労支援

就労支援は障がい者や難病を抱えている人を対象にした福祉サービスのイメージがありますが、意欲があっても年齢を理由に働くことができない高年齢者も対象になるケースがあります。しかし、就労支援はあくまで自力での生活が困難な障がい者や難病患者をサポートするための制度です。単に高年齢であることを理由に働けない人が就労支援を受けるには公的な機関ではなく、NPO法人などの民間組織を頼ることになります。しかし、民間で行っている就労支援には具体的な取り決めは無く、同じ支援でも組織によって内容が大きく異なるので注意が必要です。特に仕事内容については年齢や体力に合わせた内容の物が殆どですが、稀に利用者の事情をまったく考慮していない、利益一辺倒な組織も存在するので慎重に判断する必要があります。

高年齢者が働くのは社会との繋がりを保つだけではなく、老後の暮らしを営むのに必要なお金を得るという切実な理由が含まれています。そのため、ひとりひとりが最適な就労支援を受けられる制度の充実が社会全体の課題です。

関連の記事