難病を患う人の働く意欲を尊重する福祉支援

指定難病の特徴と社会的なサポートについて

難病は発症理由や治療方法が確定していない病気を指す言葉です。多くの場合、体調を良好に整えるために長期の療養を要することになります。指定難病は難病の中でも特に心身への負担が大きく、体調を安定させる対処療法も分かっていない物が多数を占めます。そのため、法律に基づいた医療費助成制度の対象になっているのが特徴です。指定難病の患者は国が定める一定の条件に該当すれば医療費を大きく軽減される助成制度の対象になります。この制度は患者の世帯収入で補助の割合が変わる他、認定されるには特定の医療機関で指定難病と診断される必要があるので注意が必要です。患者の側が申請をしないと福祉支援を受けることができないので、速やかに適切な手順で手続きを進めることが重要になります。

医療費受給者証交付の流れ「難病法」による医療費助成の対象となるのは、原則として「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上の場合です。確立された対象疾病の診断基準とそれぞれの疾病の特性に応じた重症度分類等が、個々の疾病ごとに設定されています。

出典:指定難病患者への医療費助成制度のご案内(難病情報センター)

指定難病患者が受けられる福祉支援は医療費の助成の他、就労支援に基づいた職業訓練が挙げられます。指定難病を患っている人は働く意欲があっても病気を理由に就労できない問題を抱えています。就労支援はそのような人に職業訓練を施し、働く場を提供する福祉サービスです。仕事に必要な技能を持つことにより自立した暮らしを営むことも可能になるため、自分に自信を持たせる目的で職業訓練を受ける難病患者も少なくありません。ある程度のサポートがあれば雇用主が求める仕事をこなすこともできるので、就労支援は社会全体の利益にも繋がります。

指定難病患者でも社会との接点を持つことが大切

指定難病は難病の中でも特に心身への負担が大きいことから、患者は病院や自宅にこもりがちです。自力での移動が困難なケースもあるため、必然的に社会との関わりが少なくなります。体調が悪くなると寝たきりの状態になり、完全に社会から孤立する可能性も否定できません。体調を良好に保つのは心身の負担を減らすだけではなく、社会と関わりを持たせて孤立を避ける意味もあります。難病患者を対象にした就労支援は労働という形で社会と関わりを持たせる効果がある他、収入が得られる仕事に就くことで自立心を養い、他者への依存を予防できるのがメリットです。

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