就労継続支援B型事業所でもらえる給料の相場はどれくらいなのか
全国の就労継続支援B型事業所の工賃を調査した結果
就労継続支援B型事業所で働く人がどれくらいの給料を受け取っているか、厚生労働省が調査を行っています。それによると、平成29年度で月額15,603円、時給に換算すると205円でした。これは全国11,225箇所の事業所の平均です。時給をみると、国が定める最低賃金よりもずっと安いということがわかります。
なぜ工賃はそんなに安いのか
就労継続支援B型事業所でもらえる給料の相場は、なぜ最低賃金よりも安いのでしょうか。それは、一般の会社などで働くのが困難な人に、就労の機会と就労能力の向上のための訓練の場を提供するのが就労継続支援B型事業所の目的だからです。利益を上げるのが目的ではなく、障害者の訓練と支援のために存在するのがB型事業所なのです。
通常の会社で働く場合は雇用契約を結び、労働の対価として一定の「賃金」が支払われます。しかし、B型事業所では雇用契約は結ばず、支払われる給料は、「工賃」と呼ばれます。あくまで、行ったことに対する手間賃です。
内職と同じような扱いで、最低賃金という考え方は適用されません。事業所ごとに得られた利益を、利用者が働いた時間に応じて分配します。仕事の内容によって手当をつけたり時給を高くしたりする事業所も見受けられますが、一般の会社のように勤続年数に応じて昇給することはありません。
事業所によっては、売上げを増やすために高く売れる商品を開発したり、付加価値の高い仕事を請け負ったりしています。しかし、あくまで就労継続支援B型事業所は障害のある人や病気の人が働く場ですから、利益追求を第一にして利用者の健康を損ねることがあってはいけません。そのため、収益も限定的になります。働いている人も無理をせずに自分のできることをしようという考えを持つ人が多く、生産性が向上しにくいので工賃は安くなってしまいます。
支援を受けながら働けるというメリットは大きい
一般就労と比べると給料の相場は低いのですが、障害や病気を抱えた利用者が支援を受けながら無理なく働けるという点で、就労継続支援B型事業所に通うメリットは大きいといえます。
仕事に絶対に通わなくてはならないというプレッシャーはありませんから、ストレスに弱いタイプの人や長時間の就労が難しい人も、気軽に利用可能です。いつかは一般就労を目指したいと考えている人の訓練の場としても機能しています。